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愛鷹山の恵み 沼津の誇る豊かなお茶

一年を通して楽しめる 心も身体にも優しい「沼津茶」

四季の自然豊かな沼津には、その自然が育んだ多様な食文化があります。
今回は、その中でも日々の生活に欠かせない「お茶」をご紹介します。
新茶
沼津で愛されているもののひとつ「お茶」
普段の生活に欠かせない、でも知らないことが多いお茶の魅力に触れてみました。
 
景色
富士山の南に広がる愛鷹山。
沼津はこの山の恵みを享受し、共に生きてきました。
愛鷹山でお茶を作る農家さんにご案内いただき、たどり着いた先には沼津の市街地を一望する景色が広がります。
農家さんだけが見ることのできる景色。
八十八夜
「夏も近づく八十八夜」で有名な「茶摘」の歌。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
立春から数えて88日目、この日に積んだお茶を飲み健康を願います。
今でも初夏に向け、一番茶「新茶」のお茶摘みが始まります。
お茶摘みは毎年この季節。だけど、お茶の成長は毎年変わります。
農家さんたちはこのタイミングを今か今かと待ち、新芽の発芽に合わせてお茶を摘みます。
一番美しい季節に
お茶は一番茶、二番茶、三番茶と3回ほどお茶摘みの時期があります。お茶畑によって、一番茶「新茶」のみの畑もあります。
一番茶の時期は、軽やかで美しい若葉色に溢れ、山一面がきらびやかに太陽の光を一身に受け止めます。
お茶の新芽は陽に当たりきらびやかで、どこか誇らしい気持ちに。

お茶は苗木から、まる5年ほどかけて「お茶をつめる木」となります。時間をかけて丁寧に苗木を育て待ち望む美しい季節。
美しさの裏側には、苦労もあります。
初夏の季節は朝の寒さで「霜」が降り、その霜に触れるとお茶の新芽は黒くくすんでしまう。その霜も降りる年があれば、雨との戦いの年も。
その年その年で自然と戦い、また長い年月をかけ霜に当たりにくくなる土地づくりにも力を入れてきたそうです。
 
お茶摘み
朝日が登る時間とともに、夕方日が沈む時間までの間。繰り返し行われるお茶摘み。
機械での収穫が主となっていますが、畑の中所狭しと並ぶお茶の木たちは、人の手をかける場所も多く残ります。
まだそんなに遠くない過去、道も今のように整備されず馬をひいて山を登っていたと聞きました。人の手も多く、それはもう賑やかに。
「今と形は変われど、ここから見る景色だけはなにも変わらないのよ。」
地域に根付くお茶
ところ変わって、沼津茶を製造されている「まるかわ製茶」さん。
農薬を使わず、年に一度「新茶」の季節に収穫されたお茶の葉のみを使って作る「沼津ブランド」。
お茶効果は皆様ご存知の通り。ビタミンが多く殺菌、美容、リラックスなどの効果があると言われています。

沼津育ちの私は、風邪の流行る季節になると母からよく言われました。
「風邪引くから、お茶でうがいしなよー!」

お茶の葉は、実は天ぷらにしたりして食べることもできます。摘みたての茶の葉ならではの食べ方。是非摘んだその場で食べてみてください。
口の中いっぱいにお茶の香りが広がります。
他にもふりかけにして食べたり、お茶の葉を混ぜて炊く「茶飯」なども生活に根付いています。

お茶の木はツバキ科なので、花も白く小さな椿がぽつりとぽつりと咲いてる様子が見られます。お茶の実からは、オイルがとれます。

お茶の葉を始め、余すことなく楽しめる。愛すべきお茶。
お茶の未来
生活の一部となっているお茶。ペットボトルなどで手軽にいつでも手に入るようになりました。
それは嬉しいことでもありますが、改めてお茶のあり方について考えるきっかけにもなりました。
お茶の葉も紅茶をはじめとしたフレーバーティーや、烏龍茶といった人々の生活に馴染む形に変わっていきます。
お茶の楽しみ方が増えて、沼津のお茶は日本の文化として世界中に広がっているそうです。
 
沼津茶
「あしたかで取れた美味しいお茶、ぜひ味わってください」と、農家さん。家族で営むお茶畑。
お茶づくりには、天候だけではなく、虫や動物への対策や共存も大切になります。
お茶と共に長い年月を愛鷹山で過ごし、歴史として積み重ねる。
一朝一夕ではできない、長期的な畑作り。今日もどこかの食卓で楽しまれることを元気の源に、沼津茶を家庭へ届けます。
幸せな時間を
お茶の葉を急須に入れ、沸騰したお湯を少し冷まし、相手が飲みやすい温度まで下げたらお茶を入れる。
お湯を入れると、お茶の葉が急須の中でくるくると舞います。
「今日もいい天気ですね」と一杯のお茶から広がる会話。

毎年違う味を楽しめるお茶、沼津の風土と歴史が生んだ味をぜひ楽しんでください。
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この記事を書いた市民ライター

この記事を書いた市民ライター

浅沼はるか

静岡県在住。日々の写真を撮っています。
改めて沼津のお茶に触れました。
一年を通して美しい風景の広がる沼津。
これからも残して行きたい風景です。

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