フランスと海をイメージした建物
1970年に設立された建物は、光治良がフランス留学の経験がありフランス文学の影響を受けていることから、中世ヨーロッパの教会をイメージしています。また、光治良が漁師の網元の家に生まれたことから、階段にあるライトは、漁具の浮標(うき)のようなつくりをしています。
現在、1階は作家・芹沢光治良に関する展示を行い、2階は市民公募によるギャラリーとして開放しています。
作家・芹沢光治良について
その経験から、貧しい人を救いたいと国家公務員として農商務省(現・農林水産省・経済産業省)に勤め、小作調停法の作成などを務めていましたが、現状を変えられない現実を目の当たりにし、フランスに留学。帰国後に投稿した文芸雑誌の懸賞小説で一等当選した「ブルジョア」により作家デビューを果たしました。
60代後半で、自らをモデルに創作した「人間の運命」の執筆をスタート、当時、全14巻もの一大長編小説となり数々の賞を受賞しました。
また、89歳から1年に1冊ずつ書き下ろし小説を発刊。96歳で老衰で亡くなる当日まで執筆していたそうです。
書籍の執筆以外にも、日本ペンクラブの会長や(歴代会長は、島崎藤村、志賀直哉、川端康成、井上靖、大岡信、井上ひさしなどの有名な作家がずらり!)、ノーベル文学賞の推薦委員を務めるなど幅広く活動し、1980年に84歳で沼津市名誉市民となりました。
ところで、名前の読み方がわからないという方が多いのではないでしょうか?私もその一人でした。
正解は...ペンネームが「こうじろう」、本名が「みつじろう」だそうです。
記念館スタッフおすすめの作品
1.人間の運命
光治良が66歳の時に1巻目を刊行した自伝的な小説です。
2013年に刊行された完全版は18巻まで続く小説ですが、「何巻から読んでも読みやすい」とのことなので、小見出しを見てピンときたものから手に取ってみると良いと思います。
ご参考まで、小見出しは、1巻は「次郎の生いたち」2巻は「親と子」...と続きます。最初の頃は、沼津の話も出てきます!
2.サムライの末裔
1954年に刊行されたものの復刻版が、2019年12月に刊行されました!
主に戦中から戦後にかけての広島を舞台に、原爆によって引き裂かれた、とある男女の目線を通して、戦後の日本を生き抜く様々な立場の人の話が書かれています。
3.緑の校庭
光治良が4人の娘たちにあてて書くつもりで執筆した少女小説です。
光治良作品としては珍しく子ども向けに書かれた本で、とても読みやすいです。
2017年に復刻版が刊行されています。
駿河湾を一望できる屋上
屋上からは駿河湾を一望できます。
冬期には、開館時間内に海に落ちる夕日を見ることができます。ぬまづの宝100選にもある「ダルマ夕日」も条件が合えば見ることができます!
ラブライブ!サンシャイン!!との関係
「未体験HORIZON」のMVにも、芹沢光治良記念館の2階ギャラリーが登場しています。
小説や記念館を見ながら、関係する箇所を探していくのも面白いかもしれませんね(^^)
沼津まちあるきスタンプも設置!
2020年2月から「沼津まちあるきスタンプ」の設置もスタートしました。
光治良のファンという国木田花丸ちゃんと記念館をモチーフにデザインされたオリジナルスタンプは、読書好きの花丸ちゃんのイメージにピッタリのスタンプ。色は花丸ちゃんのイメージカラー、黄色がかったオレンジです。
まちあるきスタンプ以外にも、芹沢記念館のオリジナルスタンプもあります。
毎月スタンプの色を変えているそうで、何度来館しても楽しめそうですね!
館内案内・アクセス
この記事を書いた市民ライター
福原美奈
県外出身でもあるからか、芹沢光治良の名前を沼津市に移住して初めて知りました(^^;
企画展のテーマとなっている林芙美子や川端康成も好きで、どちらも興味深く見学させていただきました。
おすすめ本、1冊ずつ読んでみようと思います(^^)
そして、60代後半から生涯一の大作を書き、89歳からも毎年1冊ずつ出版されていたパワフルさの秘訣も知りたいので、いつかの企画展のテーマに取り上げていただけると嬉しいです。